春の風がやさしく吹いた朝、
小さな三つ子のネコの兄妹は、
ピンクのリボンのついた馬車に乗って
はじめてのおでかけをすることになりました。
いちばん上のお姉さんはグリちゃん。
ちょっぴり心配性で、
「ちゃんと無事に帰ってこられるかしら…」と
馬車のふちをぎゅっと握っています。
となりのトラちゃんは、
「大丈夫よ、世界はきっと素敵なものでいっぱいよ」
と、遠くを見つめてにっこり。
そして末っ子のマルちゃんは――
待ちきれなくて、
馬車からぴょこん、と飛び降りました。
「わあ!見て見て!風がキラキラしてる!」
マルちゃんの足元では、
春の光がビーズのようにきらめいています。
「マルちゃん、ひとりで行っちゃだめよ」
そう言いながらも、
グリちゃんもトラちゃんも、くすっと笑いました。

だって本当は、
ふたりも同じ気持ちだったから。
世界はまだ知らないことでいっぱい。
でも三人なら、きっと大丈夫。
ピンクのリボンの馬車は、
小さな希望を乗せて、
コトン、コトン――
ゆっくりと、
春の物語の中へ進んでいきました。